代表谷から皆様へ~六子についてのご報告とご支援への感謝、今後への決意~
- もーもーボランティアY

- 5 日前
- 読了時間: 8分
谷から六子をご支援・応援くださった皆様へのメッセージを2つの投稿に分けて掲載します。長文ですが、お読みくだされば幸いです。
谷の報告動画もYoutubeにアップしています。(フル57分バージョン、短縮10分バージョン)
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◆ご報告
六子お母さんが、3/10に天国へと旅立ちました。
ボランティアの方々を含め、全力で手を尽くしましたが、救うことは叶いませんでした。
◆事故発生の背景と経緯
六子と上子の年齢もいよいよ高くなったので、暖かい牛舎で快適に過ごせるようにと昨年から毛布壁に加え、牛舎壁に貼り足しして、敷料のワラも厚く敷いてかなりふかふかにしていました。
しかし、ふかふかにした際に、勾配がついてしまい使っていなかった飼槽側の隅の端まではきっちり多めに敷いていませんでした。
六子はお腹が横に楕円形になるほど大きいため、立ち上がるのによっこいしょ、という感じの牛でしたが、敷料は全体にふかふかにしたので少しの勾配で立てなくなる、とは思っていませんでした。(お腹が重くて立ち上がれなくなる牛が結構いることは今回の後で調べて知りました)
◆発見当日
帰還困難区域の立入制限により、夜間から翌日までその異変に気づくことができませんでした。設置していたセンサーカメラのエラーや人手不足も重なり、救助が遅れたことは痛恨の極みです。重い彼女を救出するためには重機や特殊なけん引機材が必要であり、その手配や救出作業にも時間を要してしまいました。牛は自重が重いため、数時間動けないだけで筋肉や神経が圧迫され、褥瘡(床ずれ)が悪化、組織が壊死してしまいます。
他のボランティア3名が機材を持って駆け付けようやく六子を引き出せたのは、夕方になってからでした。一晩中立とうと必死にもがいただろう彼女はお尻~背中を打撲しており、背骨の真ん中の箇所がグラグラと揺れるほど、折れてはいなかったですがけがをしていました。
私の技術と実力不足が、彼女を苦しめる結果を招いてしまいました。
◆ケアの経過
牛の脚の壊死を防ぐためには2時間~最低でも6時間おきに左右に寝返りをさせないとならないのですが、最初1回だけ六子は自力でふらつく脚を踏ん張りながら半分立って寝返りをしました。ですが、その後は座ったままでした。獣医の先生が来てくださった日から最期の前日まで1か月以上にわたり寝返りを実施していきました。
最初はボランティアが来ない日は私一人でやるのは難しく、六子の体に負担をかけてしまったり、6時間以上経ってしまったこともありました。特にロープから毛布に変えてからは徐々にうまくできるようになりましたが、六子は常に座り姿勢でお腹が圧迫されているため、食べる量は日に日に落ちていきました。そのような中、皆様からの生牧草や果物やその他やわらかい餌は大変喜んで食べていました。とても良いふんもしてくれていました。
また、23歳と高齢のため、打撲でグラグラしていた背骨は固まりにくいかもしれないという獣医の先生が後日驚かれるほど、六子は皆さまからの餌とカルシウム剤で回復し、背骨は固まりました。
何とか立たせようと、寝返りの合間に、固まってしまっていた脚を動かすマッサージを続けたのですが、六子は積極的に頑張り、固まっていた前足が次第に動くようになり、こちらも驚かれるほど自分で曲げ伸ばしできるまでになりました。最期の前日までやる気満々で運動してくれ、吊り上げたときは、過去一前脚に体重をかけて立ち上がってくれました。
損傷が酷かった後ろ足も、徐々に動かせるようになってきましたが、(20分以上起こせなかったらガスが貯まって死に至る)マッサージや運動が足りず、特に後ろ足の屈伸がしやすい真横倒しがほとんどできず、まっすぐは伸びませんでした。それでも、吊ったときに後ろ足に体重をかけて六子は全力で立とうとしていました。
固まった脚を伸ばすこと。伸びた脚で立つこと。立って重い体重を支えることでのみ、牛は四肢の筋力を維持でき、胃袋はじめ内臓がスムーズに動きます。
また、六子は、どんな人にも合わせて分かりやすく会話してくれる牛なので、毎回六子が「はい(目まばたき)」「いいえ(耳パタパタ)」の合図をボランティアにも返してくれたり、リハビリをやりやすいように人がお願いした通りに体勢や体重をその都度非常にうまく変えてくれていました。
本人も前向きに全力を尽くしていました。

◆最期の前日
六子は体は一回り小さいメスなのに、もーもガーデンにやってきてすぐ群れのリーダーになったほど心身が強い牛でした。息子の幸太と夫のたくまにも自分の立てない姿を見せたくないようで会わずにリハビリに励んでいましたが、食べる量がどんどん減り、前々日には眼瞼浮腫ができるほど衰弱してはいました。
そして亡くなる前日はじめて、「幸太とたくまに会う」という返事を返してきたため、会わせると、じっと、彼らを見つめて涙を流していました。それから、またリハビリに懸命に励みました。生牧草一口、チモシー一口、りんご25個、配合飼料を少し食べてくれました。
◆最期の瞬間
朝発見時の六子は、既に耳や目がけいれんしていて非常に厳しい状態でした。獣医の先生に急いで電話すると老衰の最終期の多臓器不全の症状に近いと言われました。会話できる状態でなく意識も混濁し、そして呼吸も止まってしまいましたが、私が泣きながら「ここを世界一の楽園にするから。幸太やたくま(夫牛)や群れのために頑張ってほしい」「(六子にしかできない会話技術で)牛たち皆を幸せにするから手伝ってほしい」と必死に語りかけると、彼女は奇跡的に息を吹き返し、焦点の合った瞳で私を見てくれました。その後、彼女は穏やかな表情を取り戻し、「頑張る」という意思を何度も伝えてくれました。そして、駆け付けていたボランティアがもう安心だと、他の場所へ作業へ行くほど穏やかな時間がしばらく続きました。そして一時間経ってない頃、静かに息を引き取りました。目と耳がけいれんしていた牛があげるはずと言われていた唸り声は、最期まで一回もあげませんでした。彼女は私に伝えるべきだと判断したメッセージを伝え、最期の最後まで生きようと全力で行動し、気高く命を全うしました。
◆支援者とボランティアの皆様へ
皆様の心からの切なる応援とご支援のおかげで、六子は、最後までとてもおいしい餌を食べられ、骨も治り、氷点下や雨雪続く日もカイロで温かくマッサージされ、毛布に包まれました。
長期間のリハビリに耐え、希望を持って積極的に取り組み、苦しみの少ない穏やかな最期を迎えることができました。感謝してもしきれません。
ボランティアの皆様には、湯沸かし、乾草ふやかし、支援物資運搬、資機材準備、牛舎補強や吊り天井作り、土運び、雨続きの牛舎周りの溝堀り、六子引っ張り出し、寝返り、吊り布サイズ縫いなおし、吊り上げ、糞尿処理など、極寒の中それぞれのできる最大の力を使って作業を手伝っていただきました。
また、電波の無い大熊もーもーガーデンで六子につききりになっている私に代わって、状況報告や連絡調整をしながら皆様にお伝えして支援を集めていただきました。
獣医の先生にも何度も丁寧に往診治療していただきました。
心より感謝申し上げます。
まことにありがとうございました。
◆今後の決意と運営体制の改善
六子の死を無駄にしないため、私は以下の改善を約束します。
環境の整備: 適切な敷き藁の管理、監視カメラとその他システムの多重化を行い、事故を未然に防ぐ体制と、事故後に吊り上げる道具や重機、牛舎改造など、素早く適切な対応をとれる体制を構築します。
知識と技術の習得: 牛の介護技術や真横に寝かせる際の適切な処置など、専門的な知識を学び、動物たちが常に最善のケアを受けられるようにします。それを公開し、他の起立不能牛の回復にも役立つようにします。
組織体制の強化: 片美が亡くなって以降続けてきた体制を変え、私に依存した世話を実施するのではなく、適切な牛の世話と管理、事務広報を行えるスタッフを育成・雇用し、俗人的かつ集約的ではない、持続発展する運営を目指します。
財務の透明化: 皆様からのご支援は、100%動物たちのエサ代や資材費に充てられています。現在は私財や借金で補填している状況ですが、今後は経理面もクリアに公開し、皆様に安心して応援いただける体制を整えます。
◆最後に
六子は東日本大震災以降、地獄のような経験を経て当団体に来た牛でした。彼女を世界一幸せにしたいと願って活動してまいりましたが、私の至らなさが今回の結果を招きました。
私は六子と「この場所を最高に幸せな場所にし、仲間たち牛たちを守る」と約束しました。彼女がいなくなった喪失感は大きく、報告が遅れてしまいましたが、彼女が望んでいるのは私が絶望することではなく、前を向いて活動を続けることだと確信し、今書いています。
被災し、家族を失い、傷ついた動物たちが寿命を全うできる場所を作るため、私は変わります。これからも、動物たちの幸せを共に願っていただければ幸いです。
多大なるご支援を賜りながら、このようなご報告となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
しかし、全国からの皆様、地元の皆様のお心で、六子は生きられ、最期の瞬間まで命を燃やして、輝いていたことはどうしてもお伝えしたいです。
私にとっては、六子は、唯一私を子どもとしていたわってくれる母親のような存在で、時に私のほかの人への言動に対して厳しく諭してもくれる大先生のような尊い存在でした。
一か月半の今回の日々で、あらためて六子の偉大さを実感しました。
詳細と、看護・リハビリの日々につきましては、またご報告させていただきます。
皆さま、どうもありがとうございました。
もーもーガーデン 代表 谷さつき
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