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【ミニ連載】里山再生放牧って何?vol.3「我々の再生実績と全国への展開可能性」

こんにちは。

もーもーボランティアのYです。


前回のvol.2では、もーもーの放牧=在来野草放牧がもたらす生態系や野生動物との衝突防止、地球温暖化対策効果などを紹介しました。


それでは今回のテーマです。

vol.3 もーもーの里山再生実績と全国への展開可能性

◆もーもープロジェクトの実績


〈大熊もーもーガーデン〉

2011年4月という東日本大震災直後から、被災地にて被災動物保護活動を実施しました。原発事故被災地の中心部である福島県双葉郡大熊町に来た唯一無二の団体でした。

電気も水道も止まった被災地では、水も餌もないため、動物、中でも牛(小型・中型動物である犬猫等のペットと違い、大型動物のため帰還困難区域外にレスキューする手段がなく、また区域外への搬出も禁じられた)を助けることは不可能と言われていました。


そんな中、里山には水も餌(野草や木の葉)もあることに気付き、農家たちと里山の13か所に牧柵を張り巡らし、保護シェルターであるカウベルトをつくってきました(合計面積は、浪江町、富岡町、大熊町で76ha、大熊町山神1.5ha)。

以来現在まで、被災牛の保護と牛による里山保全を継続しています。

放牧のための牧柵を作る
放牧のための牧柵を作る
放牧はじめたてのもーもーガーデン
放牧はじめたてのもーもーガーデン
〈富岡もーもーワールド〉

大熊町に隣接する富岡町では、コロナ禍とウクライナ侵攻による酪農危機により廃業した酪農家から廃用牛を引き取って、2023年以降、里山保全を継続してきています。

ホタルブクロとセブン
ホタルブクロとセブン

〈総保全面積〉

大熊町(帰還困難区域内)8.5ha(「もーもーガーデン」)、富岡町3ha(保全した里山全体は20ha)(「もーもーワールド」)、冬餌作り用に富岡町の20haの耕作放棄地を活用してきました。

耕作放棄地でのロール作り
耕作放棄地でのロール作り

〈住民とのつながり〉

先祖代々里山に生き、里山を大切に維持してきた住民たちとこのプロジェクトは作ってきました。

中には、震災前に小規模移動型在来野草放牧を既にしていた人や、牛糞堆肥で有機栽培し天皇献上米を作っていた人もいます。


〈植生の多様性の変化〉

放牧前後で、明らかに植生の多様性が増加しました。

植生増加例を挙げると、

[牛導入前、優占度が高い順に]セイタカアワダチソウ、すすき、よもぎ、葛、野バラ、クマザサ

[牛導入後増えた植物]多種多様なイネ科の芝、シロツメクサ、カラスノエンドウ等マメ科植物、ホトケノザ、ノシバ、ナズナ、エノコログサ、ハコベ、スミレ、スギナなど

(その他も多数の植物が増加しています。詳しくは別記事へ)


〈その他動物の多様性の変化〉

虫、カエル、鳥などの生物種が増加しました。ふくしまレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類指定されているアマサギ[注15][ii]や、日本各地でレッドデータリスト指定されているモリアオガエル[注16][iii]のほか、国鳥のキジ、特別記念物のニホンカモシカ[注17][iv]も生息しています。金色のカメムシなど、貴重な昆虫も多いです。

2025年にはコウノトリも飛来し生息するように[注18][v]

(コウノトリはカエルやヘビ、魚、昆虫等を餌に多量必要とするため、豊富な生物が生息する環境でなければ生息できないと言われています[注19][vi]


〈野生動物の人里侵出への影響〉

イノシシや熊の人里への出没が減少しました。(詳細は別記事へ)


◆実現可能性~日本で里山を保全する現実的な唯一の道~


多様な生物が生息する草地を山林化させず、維持するためには草刈りをする必要がありますが、人の手で草刈りをし続けるのは不可能です。

(年に3~4回(夏草の伸びるのの、何と早いこと、、、!昨夏身をもって知りました汗)毎年、増え続ける広大な耕作放棄地を草刈りし続けるのは、1日40kmを普通に歩いていた[注21][viii]昔の日本人のような体力もなく、過疎化高齢化の進む現代の里山ではできません。)


だからこそ、里山の草地を守るためには牛に食べてもらうのが最も効率的です。柵さえ作り、水を用意すれば、あとは草を牛が食べてくれます。


〈牛ならではの利点は他にも〉

日本の里山は丘陵であり、トラクター等で大規模生産はできず、機械化による管理の効率化や生産性向上は望めません。

牛は丘陵でも関係なく、細い道も斜め40度の傾斜も難なく上り下りすることができるため、こうした条件不利地にぴったりです!


〈農林水産省も推奨〉

通常の放牧地造成と異なり、資金や労力が最もかからない形のため、荒廃する農村に、粗放的な土地利用による農地保全手段として農水省も放牧実施を呼びかけ始めています[注22]。[ix]


【次回≫防災避難先としての里山、まとめ】


[ii] [注15]ふくしまレッドリストhttps://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/682977.pdf

[iv] [注17]農林水産・食品産業技術振興協会https://www.jataff.or.jp/monument/2.html

[v] [注18]福島民報社https://www.minpo.jp/news/moredetail/20250524124549

[vi] [注19]わたらせ自然ミュージアムhttps://www.watarase-museum.net/common/pdf/kounotori_about2.pdf

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