【ミニ連載】里山再生放牧って何?vol.2「解決策とその効果~在来野草放牧で里山再生」
- moomowengineer
- 1月22日
- 読了時間: 5分
更新日:1月23日
こんにちは。
もーもーボランティアのYです。
前回のvol.1では、
「里山とは、奥山(人の手が入らない原生林)と人里の間に位置し、人々が生活や経済活動のために古くより恵みを得ながら共存してきた山地や草地等の領域」
「日本の里山は急激に荒廃化し、生態系のバランスが崩れており、日本国土の内里山が占める面積やその多面的機能から、このことが日本全体に与える影響は甚大」
ということをお伝えしました。
今回お伝えするのは、いよいよもーもープロジェクト(動物共栄の里山プロジェクト)のご紹介、「里山再生の解決策とその効果」についてです!
vol.2 解決策とその効果~在来野草放牧で里山再生
◆もーもーの放牧=在来野草放牧とは何か
もーもーの活動の根幹をごく短く表すと、
「耕作放棄農地で牛を放牧する」
になります。
ただし、一般的放牧のように牧草の播種をせず、あくまで人が手を入れていない、野草を生やした農地に放牧することから、一般的放牧と区別して「在来野草放牧」とも呼ぶことができます。
◆在来野草放牧の効果
〈植生への影響〉
放棄農地では、牛の導入前はススキ、クズ、セイタカワダチソウ、ササなどが2m以上の高さまで成長し、土地を占有している状態ですが、牛がこれらの植物を食べます(『舌草刈り』とも呼ばれます』)。すると土壌表面近くまで日が当たるようになり、背の低い植物が復活します。
また、牛は採食時、草の土壌近い部分は食べ残すため、元あったススキ等も完全に淘汰はされずに、背を低くして残ります。
牛が食べた植物の種は糞となってその土地に還り、再び発芽します[注9][i]。
過放牧とならないよう放牧面積や区画当たりの放牧期間を調整することで、草地は何度でも芽吹き復活します。

〈生態系への影響〉
牛は落糞地の周辺の草は食べないため「不食過繁地」ができます[注10][ii]。牛の好みによって食べない草もあるため、草地はモザイク状に草丈の高い箇所、低い箇所ができるようになります。これが草地環境の多様さを生むことになります。
植物が多様になり、環境も多様になると、その多様な植物を食べる多様な虫、その虫を食べる虫や両生類、それを食べる鳥等が増えていきます。
〈山林化からの再生効果〉
牛は木の葉を食べて樹木の光合成を抑制したり、体を搔くために木にこすりつけたりすることで、木を倒す力があります。山林化した土地の木も倒し、砕き、土に還していきます。これにより、草地を再生します。


〈野生動物との棲み分け効果〉
山と人里との間に牛が存在することで、野生動物の人里への侵出を防止する緩衝地帯(カウベルト)となります。
これにより野生動物が野放図に人里に侵出してしまうことが減り、生息範囲を限定するため、野生動物の繁殖爆発も防ぐことができます。(実際に震災直後、福島県では住民の避難により爆発的にイノシシ等の野生動物が増えたことがありました。)
個体数を適切なバランスに保つことができるため、一時的な食物増で繁殖爆発した結果、生態系のピラミッドが崩れ動物自身の首を絞める、時には餌不足で人里に降り、捕殺される・事故死する動物を減らすことができます。
これにより、人里と野生動物が生息する領域の棲み分けを可能にします。

以上より在来野草放牧には、草地再生・生物多様性回復効果があると言えます。
さらに、牛の飼養管理や地球温暖化対策、農地の地力回復にも、この放牧は効果があります。
〈飼養管理の低コスト化・省力化〉
土地さえ入手できれば、草地には野草がたくさんあるため牛の餌代がかかりません。青草の枯れる冬季も、夏に耕作放棄地の野草を活用して保存餌にすることで、自給しているため安く済み、給餌の省力化も可能です。
広い土地で放牧するため糞尿処理が不要であり、管理の省力化を実現しています。
また、集約的畜産では大量の糞尿から、メタンと一酸化二窒素が発生し悪臭と地下水の汚染になる公害を引き起こしますが、この心配もありません[注11][iii]。土壌の微生物や虫により、糞尿の分解は早いです。
〈牛の健康への効果〉
集約的畜産のように穀物を与えるのでなく、牛は本来の食べ物である草を食べることになります。
また、多様な草から、牛が自分の体調にあった草を自分で選んで食べることができます(体調不良時にデトックス効果のあるイタドリを食べる等)。
木陰で体温を調整したり、身を隠して反芻できる森林の端~草原の間を行き来したりする牛の本来の生態に合った飼い方も健康に貢献します。

牛の健康にも良く、体調管理や看病のための医療費は基本的にゼロです。
家畜保健所からも、牛の健康寿命ナンバーワンと言われています。
〈地球温暖化対策効果〉
炭素貯留など、温暖化抑止効果が高いです。(詳細は別記事にて解説)
〈土壌改良効果〉
牛糞や、牛が土壌を踏みつけ、土壌をかき混ぜることによる土壌改良効果があります[注13]。[v]
〈病害虫の発生抑制効果〉
緩衝地帯の存在は病害虫の大量発生を防ぎ、人里への侵出も抑制します。
※森林、藪で発生する病害虫には、作物や病害虫の他、人・ペット・家畜への致命的感染症を運搬する虫(マダニ等)なども挙げられます。
【次回≫我々の再生実績と全国への展開可能性】
[ii] [注10]阿蘇ペディアhttp://www.aso-dm.net/?%E7%89%9B%E7%B3%9E
[iii] [注11]農林水産省https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/chikusan/attach/pdf/index-11.pdf
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