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【ミニ連載】里山再生放牧って何?vol.1「里山って何?日本の里山に何が起きているの?」

更新日:1月23日

こんにちは。もーもーボランティアのYです。


昨年夏、もーもーの活動を紹介する文章を書く機会があり、里山ともーもーの里山再生活動について書いて谷さんに見てもらったことがありました。

その結果帰ってきたフィードバックは、「Yさんは全然里山のことが分かっていない!!!」とのこと…

頑張ってA43枚くらい書いていったのですが、初めの10行くらいしか読んでもらえませんでした。笑

その後、富岡第六区画で3時間、立ちっぱなしで里山について特別レクチャーを受けることになりました。

(おかげでブヨにめちゃ嚙まれました。)

谷さんのマシンガントークを、必死にスマホにメモを取りながら聞いたそのレクチャーは、(ブヨの痒さを抜きにしても、)私にとって忘れられないものになりました。


里山の意義、守るべき理由、牛の放牧で守れるという可能性、かつ放牧でしか守れないという実現可能性、などなど…

「里山にはすべてがある」

「人は里山が無ければ生きていけない」

「すべてが循環するのが里山」

これまでも谷さんから聞いてきたそういった言葉の本当の意味が分かり、実感が持てたように感じました。


私は、もーもープロジェクト(動物共栄の里山プロジェクト)には、あまたある環境問題・社会問題を解決していく可能性があると感じています。

もーもーに足を運び、代表の話を聞いた人がここに魅かれる理由の一つは、この「可能性感」にあるのではないでしょうか。


「可能性感」を日本中・世界中のより多くの人に感じてもらい、現実で実現していくための一つの拠点として、このホームページは構築していきたいと思っています。


そんな試みの一つとして、全4回「【ミニ連載】里山再生放牧って何?」を始めます。

文字数多めですが頑張って読んでいただけると嬉しいです。

(昨夏に谷さんと作った紹介文章をベースにしています)


vol.1 里山って何?日本の里山に何が起きているの?


◆里山って何?


里山とは、奥山(人の手が入らない原生林)と人里の間に位置し、人々が生活や経済活動のために古くより恵みを得ながら共存してきた山地や草地等の領域をさします[注1][i]


〈面積〉

日本国土(3,779万ha)の約6割(2,412万ha)を占めると言われています。

また、日本の耕地面積(437万ha)の内約4割(167万ha)は里山に存在します[注2][ii]


〈機能〉

農林水産省の発表や最新研究によれば、里山には少なくとも次の機能があるとされています[注3] [注4][iii][iv]

①洪水や土砂崩れ等の災害を防ぐ機能(土の流出を防ぎ、川の流れを安定化)

②地下水を作る機能

③暑さをやわらげ冷涼な気候を作り出す機能

④海を保全し生物多様性を守る機能

⑤里山にしか生息できない多くの生き物のすみかとなる機能

⑥景観を保全する機能

⑦里山で受け継がれてきた文化を伝承する機能


農林水産省ホームページより
農林水産省ホームページより

里山の最も大きな役割は、国土のほとんど7割が山である日本において、人を含めた動物の生存に不可欠な、豊富な水、食料、衣服、住健材、健康な(酸素濃度の高い新鮮な)空気、適温を提供し続けられてきた機能にあります

里山無しには、人も動物も持続可能に生きて来ることができませんでした。


◆里山の中でも”草地”について


里山を構成する草地は、弥生時代(BC 300年より)以降、放牧や草地性植物(茅など)の利用のため人間の管理があり、保たれてきた伝統的なゾーンです。

前項の⑤にあるように、草地にしか生息できない生物が日本には多くいます[注5] [注6]。[v][vi]


ですが…

温暖湿潤な日本では草地は放置されればススキやササ、セイタカアワダチソウなど少数の植物が占有するやぶとなり、時には数年で山林化が進み、山林は人の手が入らなければ少数の樹木が占有する最終林まで遷移してしまいます。

最終林では林床が暗く、生息できない野生生物が多数います(例:野生哺乳動物は1種も生息できません)。

生物多様性は失われてしまいます。

セイタカアワダチソウのやぶ
セイタカアワダチソウのやぶ

〈草地の今〉

この100年間で日本の草地利用は激減しました(かやぶき屋根など建築資材等としての茅の利用減、餌や敷き藁として使ってきた畜産の集約化・工業化)。

その結果、国土の12%を占めていた草地は1%まで減少、かつ減り続けています

これは弥生時代以前、2万年前の最終氷期から見ても大きな地質学的変化です。


→結果日本では、現在、草地性植物349種、草原性のチョウ21種などが絶滅危惧種となっています[注7][vii]


◆里山の”森林”について


林業の衰退により、日本の国土(3,779万ha)の約四分の一を占める人工林(1,009万ha)の管理もされなくなり、細く伸びた針葉樹が密度高く生えている状態にあります[注8][viii]

→その結果、倒木や土砂崩れ等の災害を多数起こしてきています。


〈野生生物への影響・獣害との関連〉

里山に生息し人里とは生息域が住み分けられていた野生動物(いのししなど)が、里山が荒廃して消失し、一方山地の人工林と最終林では餌がないため、人里に侵出しています。人里近くの耕作放棄地のやぶは野生動物の格好の隠れ家です。

侵出して餌を得られるようになると繁殖爆発して個体数が急増することも出てきています。


→熊被害増加とその対策に代表されるように、町や学校等の人里への侵出や農地への食害防止、人やペット・家畜への感染症媒介防止で捕獲・殺処分される野生動物が増えています。交通事故死も多いです。


里山(緩衝地帯)がなくなり、野生動物が人里に侵出してしまった様子(イメージ)
里山(緩衝地帯)がなくなり、野生動物が人里に侵出してしまった様子(イメージ)

◆まとめ


日本の里山は急激に荒廃化し、生態系のバランスが崩れています。日本国土の内里山が占める面積やその多面的機能から、このことが日本全体に与える影響は甚大です。



〈本文注釈〉

[v] [注5]環境ジャーナリスト吉田光宏http://www.jiid.or.jp/ardec/ardec44/ard44_key_note5.html

[vi] [注6]国立環境研究所https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/82/04-09.html

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